「家事按分は事業割合が50%を超えないと経費にできない」という説明を見かけることがあります。
しかし、国税庁の所得税基本通達45-2には、50%以下でも業務に必要な部分を明らかに区分できる場合は、その部分を必要経費へ算入して差し支えないという但し書きがあります。
したがって「49%なら全部ゼロ」と一律に判断するのは正確ではありません。
50%は何を判定する基準なのか
通達45-2では、家事関連費について「主たる部分が業務の遂行上必要」であるかを、その支出のうち業務に必要な部分が50%を超えるかどうかで判定する考え方を示しています。
ここだけ読むと、
50%超 → 経費
50%以下 → 経費不可
に見えます。
しかし、その直後に例外があります。
50%以下でも明確に区分できれば認められる
通達の但し書きでは、必要な部分が50%以下でも、その必要な部分を明らかに区分できる場合には、その部分相当額を必要経費へ算入して差し支えないとしています。
たとえば、自宅全体に占める仕事部屋が20%でも、
- 仕事専用の部屋である
- 面積が測れる
- 実際に事業で使用している
という状態なら、「50%以下」という数字だけで直ちに全額不可とはなりません。
大事なのは割合より区分の根拠
国税庁 No.2210は、家事関連費のうち必要経費になるのは、取引記録などに基づき業務遂行上直接必要だったことを明らかに区分できる金額と説明しています。
つまり、
自宅だから50%
スマホだから50%
車だから50%
のような固定率より、
家賃 → 面積・使用状況
電気 → 使用時間・機器
通信 → 利用記録
車 → 走行記録
のように、費用の性質に合った根拠を残す方が重要です。
例:20%でも説明できるケース
総床面積:60㎡
事業専用室:12㎡
事業割合:20%
という場合、専用室の実態と面積を明らかにできるなら、20%という数字だけで排除するのではなく、その事業必要部分を検討します。
逆に80%と主張していても、根拠がなく生活利用と区分できなければ説明が難しくなります。
50%ルールを「安全圏」として使わない
50%を超えていれば何でも自動的に必要経費になるわけでもありません。
通達45-1では、業務内容、経費内容、家族・使用人の構成、資産の利用状況などを総合勘案して判定するとしています。
割合だけでなく、その支出が業務にどう必要だったかを説明できるようにします。
判断に迷うとき
自宅兼店舗、家族共用車、高額な通信契約など、区分が難しい費用は個別事情で判断が変わります。
根拠資料を残し、必要に応じて税務署や税理士へ確認してください。
参考
- 国税庁「所得税基本通達 法第45条関係(45-1、45-2)」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/07/01.htm - 国税庁「No.2210 必要経費の知識」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm
