生成AIの文章は、全部を同じ重さで確認すると時間がかかります。
効率よく見るなら、回答を「確認が必要な種類」に分けます。
NISTの生成AIリスク資料では、生成AIが誤った内容をもっともらしく提示する現象を「confabulation」として扱っています。
事実
日付、制度、製品仕様、人物の経歴など、外部世界の事実は確認します。
特に「2026年現在」「最新」「公式には」といった表現がある箇所は、そのまま使わない方が安全です。
数字
割合、金額、件数、計算結果は別レイヤーで確認します。
文章として自然でも、桁や単位が1つ違うだけで業務では大きな問題になります。
可能なら計算式を別途再計算します。
固有名詞
会社名、サービス名、法律名、機能名、型番、URLなどを確認します。
似た名前の製品を混ぜたり、存在しない名称を作ったりする可能性があります。
出典・引用
「○○省の資料によると」「このURLに書いてある」とAIが示した場合は、出典そのものを開きます。
URLが存在するだけでは不十分です。内容が本当に主張を支えているかまで確認します。
推論
事実から導いた「だからこうすべき」は、事実そのものではありません。
AIの推論を使う場合は、
- 前提が正しいか
- 別の解釈がないか
- 自社条件でも当てはまるか
を確認します。
最終判断
採用・契約・送金・公開・削除など、結果の影響が大きい判断は、人が責任を持つ工程として残します。
AIの役割は、候補を整理し、確認材料を出すところまでにすると安全です。
6項目だけで見る
時間がない場合は、次だけでも確認します。
- 事実
- 数字
- 固有名詞
- 出典
- 推論
- 最終判断
実際の回答を6項目に分解して確認する例
たとえばAIが、社内案内の下書きとして次の内容を返したとします。
申請期限は9月30日です。対象は全社員で、申請フォームAから提出してください。
|種類|AIの記述|確認先|
|---|---|---|
|事実|申請制度が存在する|社内規程・公式案内|
|数字・日付|9月30日|最新の案内|
|固有名詞|申請フォームA|実際のフォーム名・URL|
|対象範囲|全社員|制度の対象条件|
|出典|AIが示したURL|原文を開く|
|最終判断|このまま全社送信するか|担当者|
文章全体を「正しい/間違い」で判定するより、検証可能な要素へ分解する方が確認漏れを減らしやすくなります。
確認結果を3状態にすると止まりにくい
VERIFIED:一次情報で確認済みNEEDS_CHECK:まだ確認していないREMOVE:確認できないので使わない
重要な業務では、NEEDS_CHECK が残ったまま公開・送信しない、という簡単なGateにもできます。
文章全体を何度も読み返すより、誤りやすい種類を分けて確認する方が実務では使いやすくなります。
参考
- NIST: Generative Artificial Intelligence Profile
https://tsapps.nist.gov/publication/get_pdf.cfm?pub_id=958388 - IPA: AI利用者のためのセキュリティ豆知識
https://www.ipa.go.jp/digital/ai/security/ai_security_tips.html
