仕事を速くしたいとき、最も時間のかかる作業だけを改善しようとしがちです。
しかし、業務全体が遅い原因は別の場所にあることがあります。
まず「待ち」を探す
処理時間5分でも、承認待ちで3日止まるなら、実際のリードタイムを支配しているのは待ちです。
- 返答待ち
- 承認待ち
- ファイル待ち
- 入金確認待ち
- システム処理待ち
を探します。
Lean Enterprise Instituteの現行解説でも、「待ち」は代表的なムダの1つとして扱われています。
次に「転記」を探す
同じ情報を、
メール → Excel → 会計ソフト → 管理表
と何度も入力していないか確認します。
1回の転記は2分でも、毎日50件なら大きな負担になります。
さらに転記はミスを生み、後の修正時間も増やします。
「承認」を探す
承認そのものではなく、
- 誰が承認するか不明
- 承認基準が曖昧
- 1件ずつ送っている
- 承認者が1人しかいない
ことで詰まる場合があります。
「やり直し」を探す
完成後に、
形式が違う
必須項目がない
相手の条件と違う
と戻される仕事は、最初の作業時間だけ見ても改善できません。
チェックリストや入力条件を前工程へ移せないか考えます。
滞留件数を見る
ボトルネックは、処理時間より「そこに何件たまっているか」で見つかることがあります。
たとえば、
- 作成中:2件
- 承認待ち:18件
- 発送待ち:1件
なら、承認工程が怪しいと分かります。
1か所だけ改善する
全部を自動化しようとせず、一番滞留している場所を1つ選びます。
- 承認を1日2回にまとめる
- 転記をCSV取込へ変える
- 必須項目をテンプレ化
- 待ち案件に再確認日を付ける
などです。
前後への影響を見る
1工程を速くすると、その次に仕事が集中することがあります。
例:処理時間が短い「承認」が一番詰まっている
1日20件の依頼を処理する業務を考えます。
|工程|1件の作業時間|平均待ち|滞留|
|---|---:|---:|---:|
|受付|5分|0分|2件|
|入力|6分|20分|3件|
|承認|2分|1.5日|18件|
|送信|3分|10分|1件|
一番長く手を動かしているのは入力です。
しかし、全体を止めている可能性が高いのは、2分しかかからない承認です。18件が滞留し、平均1.5日待っているからです。
この場合、入力を6分から4分へ短縮するより、
- 承認を1日2回まとめて処理する
- 低額案件は別ルールにする
- 承認基準を明文化する
- 代替承認者を決める
方が全体の完了時間へ効く可能性があります。
改善後は、承認待ち件数と平均待ち時間が減ったかを再度見ます。
ボトルネック改善は「その作業だけ速くする」ことではありません。
仕事全体の流れがどこで止まっているかを見ることです。
参考
- Lean Enterprise Institute: What is Lean Thinking?
https://www.lean.org/explore-lean/operations/
