個人事業の記帳ツールは、「会計ソフトが正解」「Excelではだめ」と単純には決められません。

国税庁は事業者に記帳・帳簿保存を求めていますが、記帳のためのExcel様式例も公開しています。

重要なのは、何を管理する道具なのかを分け、その役割に必要な要件を満たすことです。

会計ソフトが向く仕事

会計ソフトは、

  • 仕訳
  • 総勘定元帳
  • 試算表
  • 決算書
  • 申告連携
  • 消費税区分

など、会計データを一貫して持つ仕事に向きます。

銀行・カード連携や自動仕訳候補がある製品なら、取引件数が多いほど手入力を減らせます。

Excelが向く仕事

Excelは、

  • 売掛金一覧
  • 入金予定
  • 資金繰り
  • 独自の案件別集計
  • CSV確認
  • 元データの突合

など、事業ごとに列を変えたい補助管理に向きます。

国税庁も事業所得者向けの帳簿様式例をExcelで提供しています。

ただし、Excelを使えば自動的に青色申告65万円控除や電子帳簿保存の要件を満たす、という意味ではありません。

ローカルツールが向く仕事

小型のローカルツールは、

CSV文字コード変換
請求データの整形
重複チェック
入金候補の照合
ファイル名の統一

など、会計ソフトへ入れる前後の反復作業に向きます。

会計帳簿の正本そのものにするより、入力前の整形や確認を自動化する補助工具として使う方が安全です。

判断表

|仕事|会計ソフト|Excel|小型ローカルツール|
|---|---|---|---|
|仕訳・元帳|強い|可能だが設計が必要|基本は補助|
|決算・申告連携|強い|手作業が増える|向かない|
|自由な補助表|やや制約|強い|用途特化|
|CSV整形|限定的|強い|非常に強い|
|独自ルールの照合|製品次第|強い|非常に強い|
|制度変更対応|製品更新に期待|自分で確認|自分で確認|

65万円控除を狙うなら記帳方法だけで決めない

令和8年分までの青色申告特別控除65万円には、正規の簿記等の基本要件に加えて、e-Taxによる期限内送信または一定の優良な電子帳簿保存などの追加要件があります。

「このソフトを買えば65万円」と製品名だけで判断しないようにします。

一番避けたいのは正本が複数ある状態

会計ソフトにもExcelにも同じ売上を別々に手入力し、数字が違う状態になると確認コストが増えます。

会計正本:会計ソフト
売掛補助:Excel
CSV整形:ローカルツール

のように、役割と正本を決めます。

どれか1つですべて管理することより、正本がどこにあり、補助ツールからどうつながるかが明確であることが重要です。

参考

  • 国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/index.htm
  • 国税庁「No.2070 青色申告制度」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm
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