Power Queryのクエリが入ったブックをブラウザで開いたとき、そのまま更新できるのか、新しいクエリを作れるのか、迷うことがあります。

Web版ExcelのPower Query機能は、デスクトップ版(Windows版のExcel)とは同じではありません。使える範囲は少しずつ広がってきており、契約の種類やアカウント、組織の設定によっても変わります。そのため、Web版で何ができるかを一般論で判断せず、自分の環境で順に確かめるのが確実です。

この記事では、Web版で作業を始める前に確認する順番と、デスクトップ版に切り替える判断基準をまとめます。

確認は3つに分けて行う

Web版でPower Queryが使えるかどうかは、次の3つに分けて確認します。どれか1つができても、ほかもできるとは限りません。

確認すること 内容
1. 既存のクエリの更新 デスクトップ版で作ったクエリをWeb版で「更新」し、最新の結果にできるか
2. データソースの場所 クエリが読み込むデータの置き場所に、Web版からアクセスできるか
3. クエリの作成・編集 Web版で新しくデータを取り込んだり、ステップを変更したりできるか

確認する前の準備

  • コピーで試す:本番のブックで更新を試すと、読み込んだ結果が上書きされます。共有中のブックなら、ほかの人の作業にも影響します。OneDriveやSharePointでブックのコピーを作り、コピーのほうで試します。
  • 更新前の状態を記録しておく:更新前と後を比べられるように、読み込み先の表の行数と、目安になる数値(合計など)をメモしておきます。
  • クエリの内容をデスクトップ版で確認しておく:どのクエリがどこからデータを読み込んでいるかは、デスクトップ版の「データ」タブにある「クエリと接続」や、「データの取得」の中の「データソースの設定」で確認できます。

確認1:既存のクエリを更新できるか

  1. コピーしたブックをWeb版Excelで開く
  2. 「データ」タブに、「すべて更新」「クエリと接続」などのボタンがあるか確認する
  3. 「クエリと接続」を開ける場合は、クエリの一覧が表示されるか確認する
  4. 「すべて更新」を実行する(クエリを個別に更新してもよい)
  5. 結果を確認する

結果は、次のどれかになります。

結果 意味と次にすること
エラーなく終わり、行数や数値が想定どおりに変わった この環境・このデータソースなら、Web版で更新できる
エラーが出た、または資格情報(サインイン)を求められた データの置き場所や認証方法が、Web版に対応していない可能性がある。確認2に進む
ボタンがない、または押せない この環境では更新機能が使えないか、制限されている。デスクトップ版で更新する
エラーは出ないが、更新されたか判断できない 元データに目印になる行を1件追加してから更新し、結果に反映されるか確認する

最後のケースは見落としがちです。元データが前回から変わっていなければ、更新しても見た目は変わりません。エラーが出なかったことだけで更新できたと判断せず、変化を確認できる状態で試します。

確認2:データソースにWeb版からアクセスできるか

Web版Excelはブラウザで開いていても、更新などの処理はクラウド側のサービスで行われます。そのため、自分のPCや社内ネットワークの中にしかないデータには、基本的にアクセスできないと考えておきます。

データソースの場所 Web版から更新できる見込み 確認と対処
同じブック内のテーブル・範囲 外部に接続しないため、比較的更新できることが多い 確認1の手順で実際に更新して確かめる
自分のPC内のファイル(Cドライブ、デスクトップ、ドキュメントなど) クラウド側から自分のPCは見えないため、アクセスできないと考える デスクトップ版で更新する。Web版で更新したい場合は、元ファイルの置き場所と参照方法を見直す
社内のファイルサーバー・共有フォルダー 同上 デスクトップ版で更新する
OneDrive・SharePoint上のファイル 参照方法や認証の扱いによって結果が分かれる 確認1の手順で試し、公式情報で対応状況を確認する
社内のデータベース 社内ネットワークの中にあるため、Web版だけではアクセスできない前提で考える デスクトップ版で更新する。定期的な更新が必要なら、別の仕組みを管理者と相談する
サインインが必要なWebサービス・API 認証方式による 確認1の手順で試す。資格情報を求められて解決しない場合はデスクトップ版で更新する

PC内のファイルを参照するクエリをWeb版で更新できないのは、Web版の不具合ではありません。データの置き場所の問題です。チームでWeb版から更新したいなら、元データをブック内か共有の保存先に置き、クエリの参照先もそこに合わせる必要があります。

確認3:クエリを作成・編集できるか

  1. 「データ」タブに「データの取得」(またはそれにあたるボタン)があるか確認する
  2. ある場合は、選べるデータソースを確認する(デスクトップ版より少ないことがある)
  3. 既存のクエリを右クリックまたはダブルクリックし、Power Queryエディターが開くか確認する
  4. エディターが開いた場合は、使いたい操作(列の削除、型の変更、フィルター、マージなど)のボタンがあるか、詳細エディターが使えるかを確認する

Web版で編集できても、デスクトップ版の操作がすべて使えるとは限りません。使いたい操作が見当たらない場合は、その操作はデスクトップ版で行うと決めておきます。

デスクトップ版に切り替える判断基準

次のどれかに当てはまったら、Web版で粘らずにデスクトップ版に切り替えます。

  • 使いたいボタンやメニューがWeb版の画面に見当たらない
  • 更新するとエラーが出たり資格情報を求められたりして、何度試しても解決しない
  • クエリの参照先が、自分のPCや社内ネットワークの中にある
  • 詳細エディターでM言語のコードを直したい
  • データソースの設定、資格情報、プライバシーレベルを変更したい
  • パラメーターやカスタム関数、クエリどうしの参照関係を作り直したい
  • データモデル(Power Pivot)への読み込み方を変えたい
  • Web版で更新したあと、件数や合計が想定と合わない原因を調べたい

Web版の画面には、ブックをデスクトップ版のExcelで開き直すメニュー(「デスクトップ アプリで開く」など)があります。メニューの場所は画面の変更に伴って変わることがあるため、リボンの「編集」付近や「ファイル」メニューを確認してください。

Web版とデスクトップ版の分担の例

Web版で何ができるかがはっきりしないうちは、次のように役割を分けると混乱しにくくなります。

作業 行う場所
クエリの作成、ステップの変更、参照先の変更 デスクトップ版
元データをブック内や共有の保存先に置く どちらでもよい
定期的な更新と結果の確認 Web版(確認1で更新できると分かった場合)
更新エラーの原因調査 デスクトップ版

Web版で更新する人のために、次のような短い手順を決めておくと、更新できていないことに気付けます。

  1. ブックを開き、「すべて更新」を押す
  2. 読み込み先の表の行数を見て、前回の記録と比べる
  3. 合計などの目安になる数値を見て、大きく変わっていないか確認する
  4. エラーが出た、または件数が想定外だった場合は、更新を繰り返さずにクエリの管理者に連絡する

公式情報で対応状況を確認する

Web版Excelの機能は随時更新されます。この記事で「確認する」としている点の最新の状況は、Microsoftの公式サポート情報で確かめてください。Microsoftのサポートサイトで「Excel for the web Power Query」や「Web 用 Excel Power Query」などと検索すると、Web版で使える範囲を説明したページが見つかります。読むときは、次の点を確認します。

  • ページの更新日
  • 「プレビュー」などの表記がないか(提供が始まっていても、すべての環境で使えるとは限らない)
  • 対象になる契約やアカウントの種類(個人向けか、職場・学校向けか)
  • 対応しているデータソースの一覧

公式情報で対応していると書かれていても、組織の設定や提供時期によって、自分の画面には表示されないことがあります。最終的には、確認1〜3の手順で自分の環境を試した結果で判断します。

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