ChatGPTにExcelファイルを渡すと、表を読み取って集計や要約をしてくれます。ただし、結合セル・2段の見出し・複数シート・非表示の行があるファイルは、人が画面で見ているとおりに読まれるとは限りません。読み取りがずれたまま集計させると、もっともらしいのに間違った数字が出てきます。

この記事では、アップロード前の準備と、ChatGPTが正しく読めたかを件数・合計・キーの値で確かめる手順をまとめます。アップロードできるファイルの種類やサイズの上限、使える機能は、プランや時期によって変わることがあります。利用中の画面やヘルプで確認してください。

先に決めておくこと

準備を始める前に、次の2点を決めておくと作業が短く済みます。

  • 使うシートと範囲:集計に使う表はどれか。参考資料のシートやメモも必要か
  • 聞きたいこと:月ごとの合計か、取引先ごとの件数か、文章の要約か

元のファイルはそのまま残し、ChatGPT用にコピーしたファイルで準備します。整える途中で元のデータを壊さないためです。

アップロード前の準備

1. シートを絞る

複数のシートがあるファイルをそのまま渡すと、どのシートを使うかをChatGPTが推測することになります。

  • 不要なシートは、コピーしたファイルから削除する
  • 複数のシートが必要なら、中身が分かるシート名にする(例:Sheet1 → 売上明細_2026年9月)
  • 依頼文で「売上明細_2026年9月シートだけを使ってください」と指定する

2. 結合セルを解除する

結合セルは、左上のセルにだけ値が入り、残りは空として読まれることが多い形です。たとえば「取引先」列で3行分を結合して会社名を1つ入れていると、2行目と3行目は取引先が空欄として扱われます。

  1. 表全体を選んで、セルの結合を解除する
  2. 空になったセルに、上の行と同じ値を入れる(ジャンプ機能で空白セルだけを選び、上のセルを参照する数式を入れる、など)
  3. 数式で埋めた場合は、値として貼り付け直す

見た目を中央にそろえたいだけなら、結合ではなく「選択範囲内で中央」を使えば、データとしての形を崩さずに済みます。

3. 見出しを1行にまとめる

見出しが2段や3段になっていると、どの行を列名として扱うかがあいまいになります。

直す前 直した後
1行目に「2026年9月」、2行目に「売上」「件数」 1行目に「2026年9月_売上」「2026年9月_件数」
  • 見出しは1行目の1行だけにする
  • 列名を重複させない(「金額」が2列あるなら「税抜金額」「税込金額」のように分ける)
  • 表の上にあるタイトル行・作成日・注記は、別の場所へ移すか削除する

4. 非表示の行・列とフィルターを整理する

非表示にした行や列、フィルターで隠れている行も、ファイルの中にはデータとして残っています。画面に見えていない行まで集計に入り、Excelで見ていた合計と合わなくなる原因になります。

  • すべての行と列を再表示し、フィルターを解除する
  • 集計に入れない行は、非表示にするのではなく削除するか、「対象外」のような列を作って区別する
  • 対象外の行を残す場合は、依頼文で「対象外列が1の行は除いてください」と書く

5. 表の中の合計行・空行・メモを取り除く

  • 途中の小計行や、一番下の合計行は削除する(ChatGPTに集計させたときに二重に数えられるため)
  • 表の途中にある空行は詰める
  • 表の外の余白に書いたメモは、別の列に移すか削除する

6. 数式と値の形を確認する

  • 数式の結果を使いたい列は、値として貼り付けたものにしておくと、読み取りのずれが起きにくくなる
  • 日付が日付として入っているか。文字列の「9/1」と混ざっていないか
  • 先頭に0がある番号(顧客コードや郵便番号など)が数値になり、0が消えていないか
  • 金額に「円」や「,」を文字として入力していないか

依頼文に書いておくこと

ファイルと一緒に、表の形を短く伝えます。

添付したExcelの「売上明細_2026年9月」シートを使ってください。1行目が見出しで、2行目以降は1行に1件ずつの明細です。集計を始める前に、読み取ったシート名、行数、列名の一覧、「税込金額」列の合計を表示してください。

いきなり集計結果を求めず、まず読み取った結果を報告させるのがポイントです。

読み取り結果を確かめる

ChatGPTの報告と、自分でExcelを使って出した数字を比べます。比べるための数字は、アップロードする前に控えておきます。

比べる項目

項目 Excelでの出し方 ChatGPTに出してもらうもの
データの行数 キーの列をCOUNTAで数え、見出しの1行を引く 見出しを除いた行数
列名 1行目をそのまま控える 列名の一覧
金額列の合計 SUM 同じ列の合計
空欄の数 COUNTBLANK 列ごとの空欄の数
先頭と末尾の数行 先頭3行・末尾3行のキーの値を控える 先頭3行・末尾3行の表示
特定の1件 任意の1件(例:ある伝票番号)の金額 その番号の行の内容

COUNTAやSUMは、非表示の行も数えます。準備の段階で非表示の行を整理していれば、これらの数字をそのまま比べる基準にできます。

ずれていたときに疑うところ

  • 行数が少ない:途中の空行で表が終わったと判断されていないか。見出し行の位置がずれていないか
  • 行数が多い:合計行、表の下のメモ、別の表まで含まれていないか
  • 合計が違う:金額が文字列で入っている行や「円」付きの値がないか。非表示の行や小計行がどう扱われたか
  • 列名がずれている:見出しが複数行になっていないか。結合セルが残っていないか
  • 先頭の0が消えている:コード列の型を確認する。必要なら「顧客コード列は文字列として扱ってください」と指示する

原因が分かったら、ファイルを直してアップロードし直すか、依頼文で扱い方を指定して、もう一度報告させます。報告された数字がExcelの数字と一致してから、本来の集計や分析に進みます。

集計結果も1つは検算する

正しく読み取れていても、集計の途中で条件の解釈が違っていることがあります。出てきた結果のうち少なくとも1つは、Excelで同じ条件を作って確かめます。

  • 取引先ごとの合計なら、1社分だけSUMIFSで計算して比べる
  • 月ごとの件数なら、1か月分だけフィルターで件数を数える
  • 結果を全部足した値が、元データの合計と一致しているか見る

アップロード前のチェックリスト

  • 元のファイルを残し、コピーで作業している
  • 使うシートだけにした、またはシート名を指定した
  • 結合セルを解除し、空いたセルを埋めた
  • 見出しは1行だけで、列名に重複がない
  • 非表示の行・列とフィルターを解除した
  • 合計行・小計行・メモを取り除いた
  • 行数・合計・キーの値をExcelで控えた
  • 渡してよい情報だけになっている(個人情報や機密情報の扱いは別途確認する)
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