個人事業の「月次締め」は、税法上すべての事業者に毎月の決算を義務付ける制度ではありません。
一方で、国税庁は事業所得などがある人に日々の記帳と帳簿・書類の保存を求めています。年末まで未処理をためると、売上漏れ、証憑不足、現金残高のずれを一度に直すことになります。
そこで毎月1回、帳簿を年末に近い状態まで整える自主的な実務として月次締めを使います。
1. 売上を確認する
まず、当月の売上が帳簿へ入っているか確認します。
□ 現金売上
□ 振込売上
□ カード・決済サービス売上
□ 月末時点でまだ入金されていない売掛金
□ キャンセル・返金
「入金がまだないから売上ではない」と単純に判断しないようにします。売上の計上時期は取引内容・会計処理に基づいて確認します。
2. 経費と支払を確認する
領収書の束を見るだけでなく、
- 銀行口座
- クレジットカード
- 電子マネー
- 現金
- 請求書
を照合します。
□ 帳簿にない支払がない
□ 同じレシートを二重入力していない
□ 個人利用をそのまま経費にしていない
□ 未払の請求が残っていれば記録した
3. 現金・預金残高を照合する
帳簿の普通預金残高と銀行残高が大きくずれていないか確認します。
現金を管理しているなら、実際の手元現金とも合わせます。
差が出たら翌月へ持ち越すのではなく、
未記帳
二重記帳
振替ミス
手数料漏れ
私用入出金
などを確認します。
4. 未収・未払を残す
請求済みだがまだ入金されていないもの、受け取った請求書でまだ支払っていないものを一覧にします。
|種類|相手|金額|期日|状態|
|---|---|---:|---|---|
|売掛|A社|110,000|10/31|未入金|
|未払|B社|22,000|10/20|支払予定|
月をまたぐ仕事を現金の出入りだけで追うと、年末に漏れやすくなります。
5. 証憑を帳簿とつなぐ
紙の領収書、メールPDF、Web明細などが帳簿の取引へ対応しているか見ます。
電子取引データに当たるものは、対象データを電子のまま保存します。
□ 帳簿にはあるが証憑が見つからない取引がない
□ 電子で受け取った請求書を保存した
□ 確認待ちの証憑を別にした
6. 高額購入と固定資産候補を見る
PC、車、設備など、購入年にそのまま全額経費にならない可能性があるものを月次で印を付けます。
年末にまとめて探すより、
資産候補
取得日
取得価額
使用開始日
を購入時に残す方が楽です。
月次締めチェックリスト
□ 売上を全経路で確認
□ 売掛金・未収入金を確認
□ 経費を銀行・カード・現金から照合
□ 未払を確認
□ 現金・預金残高を照合
□ 証憑不足を確認
□ 電子取引データを保存
□ 固定資産候補を確認
□ 未処理・確認待ちを一覧に残す
月次締めの完成条件は「完璧な決算書を毎月作ること」ではありません。
翌月の自分が、前月の未処理をすぐ説明できる状態まで整えることです。
参考
- 国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/index.htm - 国税庁「No.2070 青色申告制度」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm
