月次締めの目的は、毎月「小さな確定申告」を完成させることではありません。

個人事業では、間違いを数か月放置しないことに価値があります。

国税庁が求めているのは日々の取引の記帳と帳簿・書類の保存です。「毎月○日までに月次決算を完成させる」という一般的な法定義務ではありません。

年末まで放置すると原因が分からなくなる

9月の銀行残高が帳簿と2万円ずれていても、9月中なら取引を思い出せる可能性があります。

翌年2月になってからだと、

  • どのカードを使ったか
  • 私用立替だったか
  • 請求書を差し替えたか
  • 現金を引き出した理由

を思い出すのが難しくなります。

月次締めは、この「時間がたつほど調査コストが上がる問題」を早く閉じるために行います。

毎月確定したいのは5つ

1. 売上の範囲

当月に記帳すべき売上が入っているか確認します。

入金済みだけでなく、月末時点で未入金の請求も確認します。

2. 現金・預金

実際の残高と帳簿を合わせます。

完全一致しないなら、差額を「そのうち直す」で終わらせず原因を残します。

3. 証憑

帳簿にある経費に、領収書・請求書・電子データなど根拠資料があるか確認します。

4. 未収・未払

翌月へ持ち越すものを一覧にします。

未入金
支払待ち
返金待ち
確認待ち

が残っていること自体は問題ではありません。残っていることを把握しているかが重要です。

5. 高額な購入

PC、車、設備など、固定資産として扱う可能性があるものを抽出します。

年末に銀行明細を全部見直して探す必要がなくなります。

毎月やらなくてもよいこともある

小さな事業で、毎月すべての減価償却計算や年末棚卸を完成させる必要はありません。

年末だけに必要な処理や、税理士と決算時に確定する処理は、

年末確認
税理士確認
決算調整

として分けておけます。

重要なのは、「未確定なのに確定したつもりになる」ことを避けることです。

月次締めの合格ライン

たとえば次の状態なら、翌月へ進みやすくなります。

銀行差額:0
現金差額:0
未処理証憑:3件(内容を記録済み)
未入金:2件(期限を記録済み)
固定資産候補:1件
税務判断待ち:1件

未処理ゼロでなくても構いません。

何が確定し、何が未確定かが見えることが月次締めの実務上のゴールです。

参考

  • 国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/index.htm
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