12月中に売上が成立していれば、入金が翌年1月でも、原則としてその売上は本年分の収入金額になります。年末は、まだ入金されていない売上を売掛金として計上し、翌年の入金時に同じ売上を二重に計上しないよう確認します。
このページは一般的な制度確認のための整理です。個別の税務判断を自動確定するものではありません。2026年9月29日時点で国税庁の一次資料を確認しています。
先に確認すること
- 12月末までに成立した売上の一覧を出す。
- 未入金分を売掛金(または未収入金)として計上し、残高を確認する。
- 入金済みだがまだ売上が成立していない前受金を分ける。
- 翌年入金時に売上を二重計上しないよう、売掛金を消し込む仕訳にする。
- 得意先別の残高を請求書・入金明細と照合する。
重要な制度ポイント
1. その年の収入金額は、原則として、入金の有無ではなく受け取る権利が確定した金額で決まります。
国税庁は、12月20日に商品を売り上げ、代金を翌年1月10日に受け取った場合、その売上は売り上げた年の収入金額になるという例を示しています。青色申告決算の手引きでも、掛け売りなどでまだ代金を受け取っていなくても、本年中に売り上げたものは本年分の収入金額になるとしています。
根拠: 国税庁 タックスアンサー No.2200、国税庁「令和7年分 青色申告の決算の手引き(一般用)」
2. 通常の商品販売では、原則として商品を引き渡した日が収入計上の時期です。
所得税基本通達36-8では、棚卸資産の販売(試用販売・委託販売を除く)による収入は、原則として引渡しの日に計上するとしています。ただし、実際の時期は取引の性質や契約、慣行によって変わるため、一律には決められません。
根拠: 所得税基本通達36-8
3. 前年末に収入に含めた未入金分を、翌年の入金時に再び売上として記帳している場合は、その年の収入から除外する必要があります。
根拠: 国税庁「令和7年分 青色申告の決算の手引き(一般用)」
仕訳と消込の例
以下の金額は説明用の例です。勘定科目名(売掛金・未収入金)は使っている帳簿の運用に合わせてください。消費税の処理は省略しています。
例1:12月20日に商品を引き渡し、翌年1月10日に入金
| 時点 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 12月20日(引渡し・売上) | 売掛金 110,000円 | 売上 110,000円 |
| 翌年1月10日(入金・消込) | 普通預金 110,000円 | 売掛金 110,000円 |
翌年1月10日の入金は「売掛金を回収した」仕訳にします。ここで「普通預金 / 売上」と記帳すると、同じ110,000円が本年と翌年の両方で売上になってしまいます。もしそう記帳してしまった場合は、翌年の収入からその分を除外します。
例2:12月に代金を受け取り、商品の引渡しは翌年1月(前受金)
通常の商品販売で、12月25日に代金 50,000円を先に受け取り、商品を翌年1月15日に引き渡す場合です。引渡しが翌年なので、12月の入金時点ではまだ売上にせず、前受金として処理します。
| 時点 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 12月25日(入金) | 普通預金 50,000円 | 前受金 50,000円 |
| 翌年1月15日(引渡し) | 前受金 50,000円 | 売上 50,000円 |
前受金は「お金は入ったが、まだ売上が成立していないもの」です。入金日だけで売上を判断すると、売掛金とは逆方向の計上ずれが起きます。
年末の売掛金照合表
得意先ごとに、12月31日時点で残っている売掛金・前受金を1件ずつ書き出し、翌年の入金や引渡しのときに消し込みます。
| 得意先 | 売上日(引渡日) | 請求日 | 入金日 | 12/31残高 | 区分 | 翌年の消込 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| A社 | 12/20 | 12/20 | 翌年1/10 | 110,000円 | 売掛金 | 翌年1/10 入金で消込 |
| B社 | 翌年1/15 | 12/20 | 12/25 | 50,000円 | 前受金 | 1/15 引渡しで売上へ振替 |
12/31残高の合計が帳簿の売掛金・前受金の残高と一致するか、請求書と入金明細で確認します。翌年の消込欄が埋まらない行は、入金漏れや二重計上がないか見直します。
注意する境界
売上計上の時期は取引の内容・契約・慣行によって確認が必要です。本記事では一般的な商品販売の年末整理を扱い、試用販売・委託販売や、長期工事・リース等の特例は対象外とします。
年次更新について
年末決算部分は、現時点で確認できる最新の年次版として令和7年分「青色申告の決算の手引き(一般用)」を根拠にしています。令和8年分の手引きが公開されたら、年度ごとの表現・例外・様式の変更を確認して内容を見直します。
参照した国税庁一次資料
- 国税庁 令和7年分 青色申告の決算の手引き(一般用): https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/pdf/025.pdf
- 国税庁 タックスアンサー No.2200: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2200.htm
- 国税庁 所得税基本通達36-8 ほか: https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/01.htm
