年末の経費は『今年払ったかどうか』だけで整理しません。通常の青色申告では、今年分なのにまだ払っていない未払経費や、今年払ったが翌年分の前払経費などを確認します。

このページは一般的な制度確認のための整理です。個別の税務判断を自動確定するものではありません。2026年9月29日時点で国税庁の一次資料を確認しています。

先に確認すること

  1. 12月末時点の未払い請求書・カード利用等を集める。
  2. その支出が今年の業務に対応するか翌年に対応するかを確認する。
  3. 今年分で未払いなら未払経費等として整理する。
  4. 翌年分を先に払っている場合は前払経費等の扱いを確認する。
  5. 翌年の支払い・振替時に二重で経費計上しないよう残高を引き継ぐ。

重要な制度ポイント

1. 国税庁の決算手引きは、前払経費のように本年分の必要経費にならないものがある一方、未払経費のように未記帳でも本年分の必要経費になるものがあると説明しています。

根拠: 国税庁「令和7年分 青色申告の決算の手引き(一般用)」

つまり、支払日が今年かどうかではなく、その費用が今年の業務に対応するかどうかで今年の経費かを判断します。

状態 今年の経費になるか 年末にすること
今年分・今年払った なる 通常どおり記帳済みか確認
今年分・まだ払っていない(未払経費) なる 未払金などで計上する
翌年分・今年払った(前払経費) 原則ならない 前払費用などへ振り替える
翌年分・翌年に払う ならない 何もしない(翌年に記帳)

具体例と仕訳の流れ

例1:12月分の通信費を翌年1月に支払う(未払経費)

12月分のインターネット料金 5,500円が、翌年1月27日に口座から引き落とされる場合です。

時点 借方 貸方
12月31日 通信費 5,500円 未払金 5,500円
翌年1月27日 未払金 5,500円 普通預金 5,500円

翌年の引落し時に「通信費」で記帳すると、同じ費用を2年で二重に計上してしまいます。翌年は未払金を消す仕訳にします。

例2:12月に翌年1月分の家賃を支払う(前払経費)

翌年1月分の事務所家賃 80,000円を、12月25日に支払った場合です。

時点 借方 貸方
12月25日 地代家賃 80,000円 普通預金 80,000円
12月31日(振替) 前払費用 80,000円 地代家賃 80,000円
翌年1月1日(振替) 地代家賃 80,000円 前払費用 80,000円

支払時に地代家賃で記帳していた場合は、12月31日に前払費用へ振り替えて今年の経費から外し、翌年に経費へ戻します。

年末の整理手順

  1. 1月〜2月に届く請求書・カード明細・口座の引落し予定から、12月以前の利用分を探す。
  2. 12月中の支払いのうち、対象期間が翌年にかかるもの(家賃・保険料・年払いのサービス料など)を抜き出す。
  3. 下の年末の計上区分表に1件ずつ記入し、当年分と翌年分の金額を分ける。
  4. 当年分の未払いは未払金、翌年分の前払いは前払費用として12月31日付で記帳する。
  5. 翌年の最初の記帳時に、未払金・前払費用の残高を消す仕訳を入れ、二重計上がないか確認する。

年末に作っておく表

年末の計上区分表

取引先・内容 支払日 対象期間 当年分 翌年分 区分
インターネット料金 翌年1/27 12月分 5,500円 0円 未払
事務所家賃 12/25 翌年1月分 0円 80,000円 前払

この表を年末に作っておくと、翌年の引落しや振替のときに、どの残高を消せばよいかをすぐ確認できます。

注意する境界

現金主義による所得計算の特例を選択している場合などは別の扱いがあります。また短期前払費用等の個別論点を本記事だけで自動判定しません。

年次更新について

年末決算部分は、現時点で確認できる最新の年次版として令和7年分「青色申告の決算の手引き(一般用)」を根拠にしています。令和8年分の年次手引きが公開されたら、年度固有の表現・例外・様式変更を確認して内容を見直します。

参照した国税庁一次資料

  • 国税庁 令和7年分 青色申告の決算の手引き(一般用): https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/pdf/025.pdf
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