年末棚卸は、仕入れた金額をそのまま全部その年の経費にするための作業ではありません。年末に残っている商品や一定の消耗品等を確認し、期末棚卸高を整理します。

このページは一般的な制度確認のための整理です。個別の税務判断を自動確定するものではありません。2026年9月29日時点で国税庁の一次資料を確認しています。

先に確認すること

  1. 棚卸対象の商品・原材料・仕掛品・未使用消耗品等を洗い出す。
  2. 12月31日現在の数量を実地に確認する。
  3. 年末前後日に実施した場合は、その間の売上・仕入等から12月31日現在の数量へ調整する。
  4. 評価方法を届け出ていればその方法、届け出ていなければ最終仕入原価法で単価を付ける。
  5. 棚卸表と数量メモ等の原始記録を保存する。

重要な制度ポイント

1. 年末棚卸高は売上原価や消耗品費の計算に使うため、年末の商品・消耗品等の棚卸高を調べる必要があります。

根拠: 国税庁「令和7年分 青色申告の決算の手引き(一般用)」

2. 棚卸時期は原則12月31日です。前後日に棚卸した場合は12月31日現在へ調整し、その計算方法を明らかにしておく必要があります。

根拠: 国税庁「令和7年分 青色申告の決算の手引き(一般用)」

3. 評価方法を届け出ている場合はその方法で、届け出ていない場合は最終仕入原価法で評価します。

最終仕入原価法では、次の式で年末の評価額を計算します。

年末の評価額 = 年末に最も近い時点で仕入れたときの単価 × 12月31日現在の数量

その年に仕入れた単価の平均ではなく、年末に一番近い仕入の単価を使う点がポイントです。

根拠: 国税庁 個人事業者向け解説資料(下記PDF)

4. 実地棚卸時の数量メモなどの原始記録は、棚卸表と一緒に保存します。

根拠: 国税庁「令和7年分 青色申告の決算の手引き(一般用)」、国税庁 個人事業者向け解説資料

棚卸表の記入例(最終仕入原価法の場合)

以下の数字は記入の仕方を示すための例です。

商品Aは、11月10日に単価800円で50個、12月15日に単価850円で40個を仕入れ、12月31日に30個残っていたとします。年末に最も近い仕入は12月15日なので、単価は850円です。

品名 12/31現在の数量 単価 単価の根拠 金額 実地棚卸日 備考
商品A 30個 850円 12/15仕入分 25,500円 12/31 —
商品B 12個 1,200円 12/2仕入分 14,400円 1/5 前後日調整あり(下記)
合計 39,900円

合計額が期末棚卸高になります。「単価の根拠」欄にどの仕入の単価を使ったかを書いておくと、後で仕入請求書と突き合わせやすくなります。消費税の経理方式による単価の扱いは本記事では扱いません。

前後日に棚卸した場合の調整例

商品Bを翌年1月5日に実地棚卸したところ、10個ありました。1月1日〜5日に売上で3個出庫し、仕入で1個入庫していたとします。

  • 12月31日現在の数量 = 1月5日の実数 10個 + その間の出庫 3個 − その間の入庫 1個 = 12個

12月31日より前(例:12月28日)に棚卸した場合は逆に、「棚卸日の実数 − 12月31日までの出庫 + 12月31日までの入庫」で12月31日現在の数量を求めます。

どちらの場合も、調整に使った売上・仕入の明細と計算式を棚卸表に添えて、12月31日現在へどう直したかを後から説明できるようにしておきます。

保存しておくもの

  • 棚卸表(上の記入例のように品名・数量・単価・単価の根拠・金額・実地棚卸日を記載)
  • 実地棚卸のときに書いた数量メモやカウント表
  • 前後日に棚卸した場合の、調整に使った売上・仕入の明細と計算
  • 単価を確認した仕入請求書・納品書など

注意する境界

通常年に比べて特に増えていない一定の消耗品等について、手引きには棚卸を省略できる取扱いもあります。ただし、すべての未使用消耗品を機械的に同じ扱いにはできないため、該当するかは手引きで確認してください。

年次更新について

年末決算部分は、現時点で確認できる最新の年次版として令和7年分「青色申告の決算の手引き(一般用)」を根拠にしています。令和8年分の手引きが公開されたら、年度ごとの表現・例外・様式の変更を確認して内容を見直します。

参照した国税庁一次資料

  • 国税庁 令和7年分 青色申告の決算の手引き(一般用): https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/pdf/025.pdf
  • 国税庁 個人事業者向け解説資料(PDF): https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/0021012-127_02.pdf
  • 国税庁 個人で事業を行っている方向けの案内ページ: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/index.htm
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