見積もり依頼メールの書き方によって、届く見積書を比べやすいかどうかが大きく変わります。数量や仕様があいまいなまま複数の会社に頼むと、前提がそろわない見積書が届きます。たとえばA社は送料込み、B社は税抜で設置費が別、C社は上位機種で計算している、という具合です。これでは金額を並べても比べられません。
この記事では、件名の付け方、本文でそろえる項目、例文、複数社に同じ条件で依頼するための工夫をまとめます。
件名は「見積もり依頼」+対象+必要なら提出期限
相手は毎日たくさんの問い合わせを受けています。件名を見ただけで、見積もりの依頼であること、何の見積もりか、いつまでに必要かが分かるようにします。
| 場面 | 件名例 |
|---|---|
| 物品の購入 | お見積もりのお願い:ノートPC 10台(10月20日までにご提出希望) |
| 業務の委託 | 【見積依頼】会社案内パンフレット制作(A4・8ページ) |
| 工事・作業 | お見積もりのご依頼:事務所LAN配線工事(〇〇区・2フロア) |
| 継続的な取引 | 見積依頼:コピー用紙A4 月50箱の年間契約 |
| 初めて連絡する相手 | 【新規】お見積もりのお願い/株式会社△△(オフィス家具) |
- 「お見積もりのお願い」「見積依頼」のように、見積もりであることを先頭に書きます。
- 数量や規模を入れると、相手が担当者を割り振りやすくなります。
- 提出期限が近いときは件名に入れます。余裕があれば本文に書くだけでも構いません。
- 複数社に送るときも件名をそろえておくと、あとで自分の受信箱から探しやすくなります。
本文でそろえる項目
見積もりの前提になる項目です。抜けていると、相手が自分で仮の条件を決めて見積もるか、問い合わせが返ってきます。
| 項目 | 書く内容 | 書き忘れると起きること |
|---|---|---|
| 対象・目的 | 何を、何のために使うか | 用途に合わない提案が来る |
| 数量 | 個数、台数、ページ数、作業回数など | 単価だけの見積もりになり、総額を比べられない |
| 仕様 | 型番、サイズ、材質、性能、作業範囲 | 会社ごとにグレードの違うものが出てくる |
| 同等品の可否 | 指定した品以外の提案も受けるか | 比べる対象がずれる |
| 納期 | 納品・完了してほしい日 | 間に合わない前提の金額が来る |
| 納品場所・条件 | 住所、階数、搬入経路、設置の有無 | 送料・搬入費・設置費の扱いが会社ごとにばらばらになる |
| 提出期限 | 見積書をいつまでにほしいか | 返事が遅れ、比べるタイミングがずれる |
| 宛名 | 見積書に書いてほしい会社名・部署・担当者名 | 社内の手続きで宛名を直してもらうことになる |
| 金額の書き方 | 税抜・税込の区別、内訳(単価・数量・送料・諸経費)を分けてほしいこと | 合計額しか分からず比べられない |
| 支払条件 | 締め日と支払日、支払方法の希望 | あとから条件が合わないと分かる |
| 有効期限 | 見積もりの有効期限を書いてもらう | 発注するときに金額が変わっている |
| 提出方法 | PDFでメール返信、書面で郵送など | 社内で回しにくい形で届く |
| 予算 | 伝えるかどうかは任意 | — |
予算を伝えると、その範囲に収まる提案をもらいやすくなります。その一方で、予算に合わせた金額が出てくることもあります。伝えるかどうかは目的に合わせて決めてください。
例文1:物品の見積もりを依頼する
件名:お見積もりのお願い:ノートPC 10台(10月20日までにご提出希望)
株式会社〇〇 営業部 ご担当者様
お世話になっております。
株式会社△△ 総務部の田中です。
下記の条件で、ノートPCのお見積もりをお願いできますでしょうか。
■品目・数量
・ノートPC 10台
・希望機種:〇〇社 ABC-14(同等品のご提案も歓迎します。その場合は仕様の違いを明記してください)
■主な仕様
・メモリ16GB以上、SSD 512GB以上、14インチ
・OS:Windows 11 Pro
・Officeソフトは不要です(当社で用意します)
■納品条件
・納期:11月10日(火)までに納品
・納品場所:東京都〇〇区〇〇1-2-3 △△ビル5階(エレベーターあり)
・初期設定とデータ移行は不要です
■見積書について
・宛名:株式会社△△ 総務部
・単価、数量、送料、その他の費用を分けて記載してください
・税抜金額と消費税額を分けて記載してください
・見積もりの有効期限を記載してください
・PDFにて、このメールへの返信でお送りください
■提出期限
・10月20日(火)17時まで
■支払条件
・月末締め翌月末払い(銀行振込)を希望します
ご不明な点や、条件によって金額が大きく変わる点があれば、お気軽にお知らせください。
よろしくお願いいたします。
株式会社△△ 総務部 田中一郎
電話:03-XXXX-XXXX
例文2:制作や作業などの業務委託の見積もりを依頼する
作業の見積もりでは、数量よりも「作業範囲」で金額が大きく変わります。どこまでを相手に頼み、どこを自社でやるかを分けて書きます。
件名:【見積依頼】会社案内パンフレット制作(A4・8ページ)
株式会社〇〇デザイン ご担当者様
はじめてご連絡いたします。
株式会社△△ 広報担当の中村と申します。
貴社のWebサイトで制作実績を拝見し、ご連絡いたしました。
会社案内パンフレットの制作について、お見積もりをお願いできますでしょうか。
■制作物
・会社案内パンフレット A4・8ページ(中綴じ)、フルカラー
・印刷部数:1,000部
■ご依頼したい範囲
・構成案、デザイン、DTP、印刷、納品まで
・原稿は当社で用意し、文字の校正も当社で行います
・写真撮影:社屋と社員の撮影1日分を含めてお見積もりください
・修正回数の想定:デザイン案の提出後に2回程度
■スケジュール
・原稿のご提供:11月上旬
・納品希望日:12月18日(金)
・納品場所:東京都〇〇区〇〇1-2-3(1か所)
■見積書について
・宛名:株式会社△△ 広報担当 中村
・デザイン費、撮影費、印刷費など、項目ごとに分けて記載してください
・修正回数を超えた場合の追加費用の考え方があれば、あわせてお知らせください
■ご提出期限
・10月23日(金)まで
前提が分からない点があれば、仮の想定を置いていただき、その想定を見積書に書き添えていただけると助かります。
よろしくお願いいたします。
複数社に同じ条件で依頼するための工夫
条件は本文か1つの添付ファイルにまとめて固定する
数量・仕様・納期は本文にまとめて書くか、条件をまとめた依頼書(仕様書)を1つ作り、すべての会社に同じものを送ります。会社ごとにメールを書き直すと、条件が少しずつずれやすくなります。変えるのは宛名とあいさつだけにして、条件の部分はそのままコピーして使います。
質問への回答はすべての会社に伝える
たとえば1社から「平日は何時まで納品できますか」と聞かれ、その答えで見積もりが変わりそうなら、他の会社にも同じ情報を伝えます。1社だけが詳しい前提で見積もると、公平に比べられなくなります。
内訳の書き方をそろえてもらう
「単価・数量・小計・送料・諸経費・税抜合計・消費税・税込合計」のように内訳の並びを指定しておくと、届いた見積書をそのまま表に書き写せます。並びまで指定しにくい場合でも、「送料と設置費が含まれているかどうかを明記してください」と一文書くだけで比べやすくなります。
相見積もりであることを伝えるか
他社にも依頼していることを伝えるかどうかは自由です。伝えるなら「複数社にお見積もりをお願いしております」と一文添えれば十分です。選んだ結果をいつごろ連絡するかも書いておくと、相手は予定を立てやすくなります。
届いた見積書は比較表に並べる
見積書が届いたら、依頼した条件を行に、会社を列にした表に書き写します。
記入例:
| 項目 | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|
| 機種・仕様 | 指定品 | 同等品(仕様差あり) | 指定品 |
| 単価(税抜) | |||
| 送料・設置費 | 込み | 別途 | 込み |
| 納期 | 期限内 | 期限を過ぎる | 期限内 |
| 有効期限 | |||
| 支払条件 |
空欄が残った項目は、問い合わせて確認が必要なところです。納期に間に合わないなど条件を満たしていない見積もりは、金額が安くても別に分けて考えます。
送信前チェックリスト
- 件名に「見積もり」と対象が入っている(必要なら提出期限も)
- 数量と単位を書いた
- 仕様や作業範囲、同等品でもよいかを書いた
- 納期と納品場所、設置や搬入の条件を書いた
- 見積書の宛名を指定した
- 税抜・税込の区別と、内訳の書き方を指定した
- 提出期限と提出方法を書いた
- 複数社に送る場合、条件の部分がすべて同じになっている
