押印を頼むメールでは、相手が「どの書類の、どこに、何部押して、いつまでに、どうやって返すか」を迷わないように書きます。どれか1つでも抜けると、違う欄に押される、控えまで返ってくる、古い住所に送られる、といった行き違いが起きやすくなります。

この記事では、送る前にそろえる項目、件名の付け方、取引先向けと社内向けの例文、送ったあとの確認までを順に紹介します。

送る前にそろえる7項目

メールを書き始める前に、次の7項目を手元で埋めておきます。埋まらない項目があるなら、まだ依頼メールを送る段階ではありません。

項目 書く内容の例 抜けたときに起きやすいこと
書類名 業務委託契約書(2026年11月1日〜) 同じ時期に送った別の書類と混同される
押印箇所 2ページ目「乙」欄、表紙上部の割印 違う欄に押される、押し漏れが出る
印の種類 代表者印、角印、担当者印など 想定と違う印で押され、差し替えになる
部数 2部とも押印し、1部を返送 控えまで返ってくる、1部しか届かない
返送先と方法 住所・部署・宛名、返信用封筒の有無、郵送かPDFか 旧住所や担当者個人の宛先に届く
期限 11月14日(土)弊社必着 「必着」か「発送」かで認識がずれる
同封物・添付 書類一式のリスト、記入見本 足りない書類に相手が気づけない

押印箇所や印の種類は、書類の様式や社内のルールで決まっていることが多い項目です。自分で推測せずに、書類を作った人や担当部署に確認してから書きます。

件名には「押印」「書類名」「期限」を入れる

押印の依頼は、受け取った人が自分の判断だけで処理できるとは限りません。上司や総務に回されることもあるので、件名だけで用件が伝わるようにします。

  • 【押印のお願い】業務委託契約書(2部)/11月14日必着
  • 押印のご依頼:発注書 No.1234 のご返送について(11/14まで)
  • 【ご確認・押印のお願い】秘密保持契約書(○○株式会社様分)
  • 【押印依頼】△△社向け見積書/本日17時まで(社内向け)

件名を作るときは、次の点に気をつけます。

  • 「押印」という言葉を入れる。「書類送付のご案内」だけでは、押す必要があると気づかれにくい
  • 書類名は省略しすぎない。「契約書」だけだと、複数の契約が並行していると区別できない
  • 期限は件名にも入れる。本文を開く前に優先度が分かる
  • 過去のやり取りに「Re:」で返信して依頼すると、件名が別の話題のまま残る。押印の依頼は新しい件名で送るほうが探しやすい
  • 社外宛てでは「至急」を多用しない。本当に急ぐときは、理由と期限を本文に書く

取引先への例文(原本を郵送でやり取りする場合)

書類を郵送し、押印したものを返送してもらう場合の例です。項目ごとに見出しを付けると、相手が自分の社内で回すときにも読み取りやすくなります。

件名:【押印のお願い】業務委託契約書(2部)/11月14日(土)必着

○○株式会社
総務部 △△様

いつもお世話になっております。
□□株式会社の山田です。

先日内容をご確認いただいた業務委託契約書について、押印をお願いしたくご連絡いたしました。
本日、書類一式を郵送いたしましたので、お手元に届きましたらご確認ください。

■対象書類
業務委託契約書(契約期間:2026年11月1日〜2027年10月31日) 2部

■押印をお願いしたい箇所
・2ページ目「乙」欄:貴社のご記名と代表者印
・表紙上部の余白:2部にまたがる割印(弊社の印の隣)
押印箇所には付箋を貼っております。

■ご返送いただくもの
押印済みの1部をご返送ください。もう1部は貴社の控えとしてお手元に保管ください。

■返送先・方法
同封の返信用封筒をご利用ください。
〒000-0000(住所) □□株式会社 総務部 山田 宛

■期限
11月14日(土)弊社必着でお願いいたします。

■同封物
・業務委託契約書 2部(弊社押印済み)
・押印箇所を示した記入見本 1枚
・返信用封筒 1通

ご不明な点がある場合や、期限までのご返送が難しい場合は、本メールにご返信ください。
何卒よろしくお願いいたします。

「ご返送いただくもの」と「保管していただくもの」を分けて書くと、2部とも返ってくる、という行き違いを防げます。

PDFを先に送り、原本はあとで郵送する場合

先にPDFで内容を見てもらい、原本は後から郵送する、という流れもあります。この場合は、相手が「今、何をすればよいのか」が曖昧になりやすいので、段階を分けて書きます。

本日は内容のご確認用として、PDFを添付いたしました。
・添付ファイル:業務委託契約書_○○株式会社様_20261105.pdf

現時点では押印は不要です。内容に問題がなければ、11月7日(土)までにご返信ください。
ご確認いただいたあと、押印用の原本2部を郵送いたします。押印箇所と返送方法は、原本送付時にあらためてご案内いたします。

PDFを印刷して押印し、スキャンして返してもらう運用の場合は、その旨と「原本の郵送も必要か」をはっきり書きます。どちらの運用にするかは、自社のルールを確認してから決めます。添付ファイルにパスワードを付ける場合は、パスワードの伝え方も社内のルールに合わせます。

社内で押印を依頼する例文

社内では、押印を担当する部署や上司が判断しやすいように、何に使う書類か(提出先)と、原本の受け渡し方法を書きます。申請の仕組みがある会社では、その手順や申請番号に合わせます。

件名:【押印依頼】△△株式会社向け見積書(1部)/11月6日(金)15時まで

総務部 佐藤さん

営業部の山田です。
△△株式会社へ提出する見積書に、社印の押印をお願いします。

・書類:見積書 No.Q-2026-118(1部)
・押印箇所:右上の会社名横(角印)
・提出先と用途:△△株式会社への見積提出(11月7日訪問時に手渡し)
・原本の場所:総務部の押印依頼トレーに、クリアファイルに入れて置いています
・期限:11月6日(金)15時まで
・受け取り:押印後、営業部の私の机にお戻しいただくか、ご連絡いただければ取りに伺います

不明点があればチャットでご連絡ください。よろしくお願いします。

押し間違い・行き違いを防ぐ工夫

文面以外でも、次の工夫でやり直しを減らせます。

  • 押印箇所に付箋を貼る:書類に直接印を付けるより、はがせる付箋のほうが書類を汚さない
  • 記入見本を同封する:押す場所と印の種類を1枚の図で示すと、文章より誤解が少ない
  • 期限は相手の社内手続きを考えて決める:押印に社内の承認が必要な会社もあるため、自社の締切から逆算し、郵送の日数も含めて余裕を持たせる
  • 「必着」か「発送」かを書く:「11月14日まで」だけでは、どちらの意味か分からない
  • 送付状況を一覧で管理する:複数の取引先に送るときは、書類名・送付日・期限・返送確認日を表にしておくと、返ってきていない相手がすぐ分かる

返送されたら確認して連絡する

書類が戻ってきたら、すぐに次の点を確認します。

  • 依頼した箇所すべてに押印されているか
  • 印の種類が依頼したものと合っているか
  • 返ってきた部数が正しいか

確認できたら、短い受領の連絡を送ります。相手も「無事に届いたか」を気にしていることが多いためです。

本日、押印済みの業務委託契約書1部を受領いたしました。
ご対応いただき、ありがとうございました。

押し漏れが見つかった場合は、どの書類のどの箇所かを具体的に示し、再度の押印をお願いします。相手の手間を減らすため、返送用の封筒をもう一度用意するなどの配慮も検討します。

期限までに届かないときの確認メール

期限を過ぎても届かない場合は、責めるような書き方を避け、郵送の行き違いの可能性も含めて確認します。

件名:【ご確認】業務委託契約書のご返送について(11月14日期限分)

11月5日に郵送いたしました業務委託契約書について、本日時点で弊社への到着が確認できておりません。
行き違いでご返送済みでしたら、恐れ入りますが発送日をお知らせください。
まだお手元にある場合は、11月19日(木)までにご返送いただけますでしょうか。
書類が届いていない場合は、再送いたしますのでお知らせください。

送信前チェックリスト

  • 件名に「押印」「書類名」「期限」が入っている
  • 書類名が、他の書類と区別できる書き方になっている
  • 押印箇所をページ・欄の名前で具体的に書いた
  • 印の種類を社内で確認してから書いた
  • 押印してもらう部数と、返送してもらう部数を分けて書いた
  • 返送先の住所・部署・宛名が最新である
  • 返送方法(郵送・返信用封筒の有無・PDFなど)を書いた
  • 期限が「必着」か「発送」か分かる
  • 同封物・添付ファイルの一覧と、実際に入れたものが一致している
  • 期限に間に合わないときの連絡方法を書いた
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