担当を引き継いだら、前任者からの担当変更の連絡とは別に、後任者として自分から挨拶のメールを送ります。名前を伝えるだけで終わらせず、次の3つを1通にまとめておくと、その後のやり取りがぐっと楽になります。
- 引き継いだ案件をどう理解しているか
- 今後の連絡先はどこか
- 認識に食い違いがないか、相手に確かめてもらう
引き継ぎの抜けは、社内の資料だけでは見つけにくいものです。最初のメールで認識を示しておけば、相手から「その件は先週こう話していました」と教えてもらえる機会が生まれます。
送る前に確かめておくこと
相手に担当変更が伝わっているか
前任者や上司から、担当変更の連絡が既に送られているかを確かめます。
- 既に伝わっている場合:その連絡を受ける形で、「先日○○からご連絡しましたとおり」と書き出せる
- まだ伝わっていない場合:自分のメールが最初の知らせになる。切替日と、前任者が今後どうなるかの一言を入れる必要がある。誰が知らせるのかを、送る前に社内で決めておく
送る時期
切替日の前後、できれば最初の実務の連絡より前に送ります。期限が近い案件がある場合は、挨拶のメールを待たず、その案件の連絡と一緒に送っても構いません。
1通に入れる要素
| 要素 | 書くこと | 注意点 |
|---|---|---|
| 件名 | 担当変更の挨拶であることと、自分の社名・氏名 | 一覧の画面で用件が分かるようにする |
| 名乗り | 会社名・部署・氏名、前任者の名前 | 前任者の名前があると、相手が誰の後任かすぐ分かる |
| 着任の一言 | いつから担当するか | 社内の人事の事情は書かない |
| 引き継いだ案件 | 案件名・現在の状況・次の予定や期限 | 多い場合は主な案件だけにして、残りは一覧を別に送る |
| 今後の窓口 | メールアドレス・電話番号、不在時の連絡先 | 前任者が引き続き連絡を受けるのか、受けないのかもはっきりさせる |
| 確認のお願い | 認識の違いや、前任者と話していた事項がないか | 何を確かめてほしいのかを具体的に書く |
| 結び | 今後の挨拶、面談や電話の提案 | 面談の提案は、必要な場合だけにする |
件名の例
- 【担当変更のご挨拶】○○株式会社 営業部 山田
- 担当変更のご挨拶と引き継ぎ内容のご確認(○○株式会社 山田)
- 【ご挨拶】△△案件の新しい担当者 山田です(○○株式会社)
前任者の担当変更メールに続けて返信する形で送るなら、件名を「Re:」のままにしておくと、相手は前の連絡とひもづけて読めます。
基本の例文
件名:担当変更のご挨拶と引き継ぎ内容のご確認(○○株式会社 山田)
株式会社△△
購買部 佐藤様
いつもお世話になっております。
○○株式会社 営業部の山田です。
先日、前任の鈴木からご連絡いたしましたとおり、
10月1日より貴社のご担当を務めさせていただくことになりました。
どうぞよろしくお願いいたします。
鈴木から引き継いだ内容を、以下のとおり理解しております。
1. 年間保守契約(契約番号 M-2026-015)
・次回の定期点検:10月21日(水)に実施予定
2. 追加機器のお見積もり(見積番号 Q-0912)
・9月20日にご提出済み。ご検討の結果をお待ちしている状況
3. 操作研修の日程調整
・11月中の実施で候補日をご相談中
上記の内容に食い違いがございましたら、お知らせいただけますと幸いです。
あわせて、鈴木と口頭でお話しされていた事項や、
書面に残っていないお約束などがございましたら、
お手数ですがお教えいただけますでしょうか。
今後のご連絡は、下記の私宛てにお願いいたします。
不在の際は、同じ部署の田中が対応いたします。
・メール:yamada@example.co.jp
・電話:00-0000-0000(平日9時〜18時)
・不在時の連絡先:田中 tanaka@example.co.jp
鈴木は社内の別部署に異動しており、
しばらくの間は私から鈴木に確認をとりながら対応いたします。
至らない点もあるかと存じますが、
引き続きよろしくお願いいたします。
――――――――――
○○株式会社 営業部
山田 太郎
(以下、署名)
案件の書き方は、「案件名と番号」「現在の状況」「次の予定や期限」の3点にそろえると、相手が自分の記録と照らし合わせやすくなります。
状況別の差し替え文
前任者がまだ担当変更を知らせていない
このたび、前任の鈴木に代わり、10月1日より
貴社のご担当を務めさせていただくことになりました。
9月30日までにいただいたご連絡は、鈴木から私へ引き継いでおります。
前任者が退職している
退職の事情や時期の詳細は書かず、前任者宛ての連絡がどう扱われるかだけを伝えます。
前任の鈴木宛てのメールアドレスは、今後ご利用いただけなくなります。
お手数ですが、今後のご連絡は私宛てにお送りください。
退職後の扱いはアドレスの停止時期などによって違うため、書く前に社内の担当部署へ確かめておきます。
引き継ぎで分からない点がある
「不明な点があれば」とまとめず、何が分かっていないのかを具体的に書きます。
1点確認させてください。
追加機器のお見積もりについて、納期のご希望を
12月中と伺っておりますが、鈴木の記録では日付まで確認できませんでした。
ご希望の納期を改めてお知らせいただけますでしょうか。
期限が近い案件がある
挨拶の後ではなく、最初の段落のすぐ後にその案件を書き、急ぎであることが分かるようにします。
まず、10月21日の定期点検について、
予定どおり実施させていただく前提で準備を進めております。
変更がございましたら、10月14日までにお知らせください。
進行中の案件が多い
本文には期限が近い案件や金額の大きい案件だけを書き、残りは一覧にして添付するか、別のメールで送ります。本文に長く並べると、確かめてほしい点が埋もれます。
書かないほうがよいこと
- 前任者の対応への評価や不満:「前任者の対応が遅れており」など。相手から見れば同じ会社の話です
- 引き継ぎが不十分だったという社内事情:「十分に引き継げておらず」と書くと、不安を与えるだけになる。分からない点は、具体的な確認として書く
- 確かめていない約束の引き継ぎや変更:前任者が口頭で約束していた条件を、確かめないまま「引き続き対応します」とも「今後は変わります」とも書かない。まず内容を確認する
- 異動・退職の理由など人事の詳細
- まだ決まっていない方針:「今後は月1回訪問します」など、社内で決まっていない約束
送る前のチェックリスト
- 前任者・上司からの担当変更の連絡が出ているか確かめた
- 宛先は相手の窓口の人になっている。相手側の関係者をCCに入れるかを決めた
- 自社の前任者や上司をCCに入れるかを決めた
- 案件名・番号・日付・金額が社内の記録と一致している
- 署名と連絡先が自分のものになっている(前任者のメールを流用していない)
- 不在時の連絡先として書いた人に、了承をとっている
- 返信がない場合に、いつ確認するかを決めた
返信が来たら
- 食い違いを指摘された:社内の記録や前任者に確かめ、回答できる日を先に返す。「確認のうえ、○日までにご連絡いたします」
- 前任者との約束を知らされた:内容と条件を書き留め、社内で対応できるかを確かめてから回答する
- 「特に問題ありません」と返ってきた:お礼を短く返し、引き継いだ内容を確定したものとして社内の記録を更新する
最初のメールで引き継ぎ内容を相手と照らし合わせておけば、その後の案件で「前に話したはず」というすれ違いを防ぎやすくなります。挨拶と確認を1通にまとめ、相手には確かめてほしい点だけを具体的に示しましょう。
