AIで問い合わせ返信を速くするなら、「好きに返信して」ではなく、事実・禁止事項・確認事項を先に渡して返信候補だけ作らせます。最後の送信判断は人が持ちます。
この記事では、元の問い合わせ・確定している社内の事実・書いてはいけないことをAIに渡して返信候補を作らせ、人が確認してから送るまでの手順を整理します。「返信は速く作りたいが、事実を勝手に足されたくない」という場合に向けた内容です。
先に結論
AIに渡すのは 問い合わせ原文・確定事実・禁止事項 の3つです。AIには返信候補と「使った事実の一覧」を出させ、人がその一覧を元情報と照合してから送信します。AIに送信まで任せることはしません。
手順
- 元の問い合わせをそのまま残す。
- 確定している社内事実だけを箇条書きにする。
- 分からない点と、書いてはいけない約束を明示する。
- AIには『返信候補』として作らせる。
- 固有名詞・金額・期日・約束を元情報と照合してから送る。
AIへの依頼文の例
次の形でそのまま使えます。【】内を自社の内容に置き換えてください。
あなたは当社カスタマーサポートの返信下書き担当です。
以下の【問い合わせ原文】に対する返信の「候補」を1案作成してください。
この文章はそのまま送信せず、担当者が確認してから使います。
【問い合わせ原文】
(ここに問い合わせをそのまま貼る)
【確定している事実】※ここに書いたこと以外を事実として書かないこと
- 注文番号:A-1024
- 在庫状況:現在確認中
- 確認結果の連絡予定日:10月7日
【書いてはいけないこと】
- 発送日・返金・値引きの約束
- 【確定している事実】にない日付・金額・担当者名
- トラブルの原因の断定
【出力形式】
1. 返信候補(丁寧語、300字以内)
2. 返信候補の中で使った【確定している事実】の一覧
3. 情報が足りず書けなかった点(あれば)
顧客の氏名・電話番号・住所などは、利用しているAIサービスのデータの扱いを社内で確認するまでは「○○様」などに置き換えて貼り付けます。
出力を確認する手順
- 出力2「使った事実の一覧」が、【確定している事実】に書いた内容と一致しているかを見る。
- 返信候補の中の日付・金額・数量・固有名詞に1つずつ印を付け、すべてが元情報にあるかを確認する。
- 「〜いたします」「〜できます」など約束になる表現を探し、確定していないものは「確認のうえご連絡します」などに直す。
- 出力3に挙がった不足情報は、社内で確認してから追記する。AIに推測で埋めさせない。
- 宛名を実際の氏名に戻し、最後に人が送信する。
実務での確認チェック
- [ ] 問い合わせにない事実を足していない
- [ ] 未確認事項を断定していない
- [ ] 期日を勝手に作っていない
- [ ] 相手への次行動が明確
具体例
在庫確認中なら「本日発送します」と書かせず、「現在確認中。○日までに確認結果を連絡予定」のように確定事実と予定を分けます。
よくある失敗
- 「丁寧に返信して」とだけ頼み、AIが自然な文章にするために発送日やお詫びの品などを書き足してしまう。
- 文章が整っているので、日付や金額を確認せずに送ってしまう。
- 問い合わせ原文を要約してから渡し、相手が本当に聞いていることが抜け落ちる。
- 前回の返信を流用させ、別の顧客の情報が混ざる。
返信の確認に使うチェック例
依頼文を変えたときや、新しく使い始めるときは、次のような状況で試し、NGの書き方が出ないかを確かめておくと安心です。
| 状況 | 渡す確定事実 | NGの返信例 | OKの返信例 |
|---|---|---|---|
| 在庫確認中 | 在庫は確認中、10月7日までに連絡 | 「本日発送いたします」 | 「現在在庫を確認しております。10月7日までにご連絡いたします」 |
| 返金の希望 | 返金可否は未決定 | 「全額返金いたします」 | 「返金の可否を確認のうえ、改めてご連絡いたします」 |
| 不具合の報告 | 原因は調査中 | 「配送中の破損が原因です」 | 「原因を確認しております」 |
| 日程の問い合わせ | 日程は未定 | 「来週中に対応いたします」 | 「日程が決まり次第ご案内いたします」 |
このページでは扱わないこと
ブログ記事や企画書など、一般的な文章をAIで作る方法は扱いません。このページは問い合わせへの返信下書きに絞っています。また、AIに返信を自動送信させる運用も対象外です。
次に確認するページ
- AI業務の安全な使い方の記事一覧
- 関連する実務ツール
参考
- 経済産業省・総務省「AI事業者ガイドライン」(AI利用者が出力を確認・判断する考え方)
- 利用している生成AIサービスの利用規約・入力データの取り扱いに関する公式説明
確認日: 2026-09-28
