受け取った申込書や届出書、登録書類に記入漏れや誤記があったとします。このとき「不備がありましたので再提出をお願いします」とだけ送ると、相手はどこを直せばよいか分かりません。問い合わせの往復が増えたり、直す必要のない箇所だけを直して再提出されたりしがちです。

再提出をお願いするメールは、相手が「どこを・どう直して・いつまでに・どうやって出すか」を1通で判断できるように書きます。この記事では、送る前に整理すること、本文に入れる項目、件名、不備の種類ごとの例文、責める印象を避ける言い回しをまとめます。

送る前に、不備を3つの項目で書き出す

メールを書き始める前に、見つけた不備を1件ずつ次の形で書き出します。

項目 書く内容 例
どこ 書類名・ページ・欄の名前 申込書1枚目「緊急連絡先」欄
何が 今の状態 電話番号が空欄
どう直す 正しい状態 日中につながる電話番号を記入

3列のどこかが埋まらない不備は、まだ依頼できる段階ではありません。「何となくおかしい」程度であれば、先に自社の記入要領や受付基準を確認します。担当者によって判断が分かれる項目は、社内で基準をそろえてから連絡します。そうしないと、再々提出をお願いすることになりかねません。

不備の種類は、おおむね次のように分けられます。

  • 記入漏れ:必須欄が空欄になっている、日付や署名がない
  • 誤記・不整合:住所や氏名の表記が他の書類と違う、合計が合わない、日付の前後関係がおかしい
  • 添付漏れ:本人確認書類や証明書など、同封・添付が必要な書類がない
  • 形式違い:指定の様式でない、有効期限が切れている、指定と違う形式で提出されている

不備が複数あるときは、一度にすべて伝えます。1件ずつ小出しにすると、相手は何度も出し直すことになり、受け取る側の確認作業も増えます。送る前に、書類全体を最初から最後までもう一度見直しておきます。

なお、届いたファイルが開けない場合や、添付自体が届いていない場合は、依頼する内容が変わるため別の連絡として扱います。

1通に入れる項目

再提出をお願いするメールには、次の項目を入れます。

  1. 書類を受け取ったことと、そのお礼
  2. 不備があったこと(結論)
  3. 不備の一覧(どこ・何が・どう直す)
  4. 再提出してもらう範囲(すべて出し直すのか、該当ページ・該当書類だけでよいのか)
  5. 再提出の方法(郵送・持参・メール添付・アップロードなど。宛先も書く)
  6. 再提出の期限と、その期限にしている理由(手続きの締切など、伝えられる範囲で)
  7. 不明点の問い合わせ先
  8. 最初に受け取った書類の扱い(返送するのか、手元で保管するのか)

8は省かれがちですが、相手にとっては「最初に出した書類はどうなるのか」が気になるところです。自社の取り扱いルールに沿って一言添えます。

件名の例

件名を見ただけで「書類の件で、自分が何かする必要がある」と伝わるようにします。

  • 【再提出のお願い】〇〇申込書の記入内容について(〇月〇日まで)
  • 〇〇届出書の一部ご記入漏れと再提出のお願い
  • 【ご確認のお願い】ご提出書類の添付漏れについて(受付番号:12345)

受付番号や申込番号がある場合は件名に入れておくと、相手も自社も後から探しやすくなります。「不備」という言葉がきつく感じられる場合は、「ご記入内容の確認」「一部ご記入漏れ」などに言い換えてもかまいません。ただし本文では、再提出が必要なことをはっきり書きます。

不備の箇所は、相手が探さなくても分かるように書く

再提出のお願いで最も多い失敗は、不備の場所があいまいなことです。

分かりにくい例

一部記入漏れがございましたので、ご確認のうえ再提出をお願いいたします。

分かりやすい例

  1. 申込書1枚目「生年月日」欄:生年月日をご記入ください(西暦・和暦のどちらでも構いません)。
  2. 申込書2枚目「ご署名」欄:ご本人様の自署をお願いいたします(印字・代筆は受付できません)。
  3. 添付書類:本人確認書類の写し(運転免許証の場合は表裏両面)が同封されておりませんでした。

書くときのポイントは3つです。

  • 番号を振る:相手が「1は直した、2は確認中」と返信しやすくなります。
  • 欄の名前は書類の表記どおりに書く:社内での呼び方ではなく、書類に印刷されている見出しを使います。
  • 正しい状態を具体的に書く:「正しくご記入ください」ではなく、何をどの形式で書けばよいかを示します。

紙の書類やPDFであれば、該当箇所に印を付けた画像を添付する方法もあります。その場合も本文に箇所の説明を残しておけば、画像を開けない環境でも内容が伝わります。

相手の個人情報を本文に書き写さない

誤記を指摘するとき、「ご記入の口座番号〇〇〇〇〇〇〇は…」のように、相手の個人情報や番号をメール本文にそのまま書き写すのは避けます。誤送信したときの影響が大きくなるためです。「口座番号の桁数が足りないようです」「ご住所の番地が本人確認書類と異なります」のように、箇所が特定できる最小限の書き方にとどめます。

例文1:記入漏れと添付漏れがあるとき(郵送で受け付けている場合)

件名:【再提出のお願い】会員登録申込書のご記入漏れについて(10月20日必着)

山田 太郎 様

いつもお世話になっております。〇〇株式会社 会員窓口の佐藤です。
このたびは会員登録申込書をご提出いただき、ありがとうございました。

内容を確認しましたところ、以下の2点についてご対応をお願いしたく、ご連絡いたしました。

  1. 申込書2枚目「ご署名」欄が空欄となっておりました。ご本人様の自署をお願いいたします。
  2. 本人確認書類の写しが同封されておりませんでした。運転免許証の場合は、表裏両面の写しをお送りください。

【再提出いただくもの】
・申込書2枚目(ご署名済みのもの)
・本人確認書類の写し
※申込書1枚目は内容に問題がございませんので、再提出は不要です。

【再提出の方法】
同封の返信用封筒にてご郵送ください。

【期限】
10月20日(火)必着
今月分の登録手続きの締切に合わせ、この日付とさせていただいております。

前回ご提出いただいた申込書は、再提出分と合わせて当方で保管いたします。
ご不明な点がございましたら、本メールへのご返信、またはお電話(03-XXXX-XXXX、平日10時〜17時)にてお問い合わせください。

お手数をおかけいたしますが、何卒よろしくお願いいたします。

一部だけの再提出でよい場合は、「1枚目は再提出不要」のように出し直さなくてよいものも書いておくと、相手が迷いません。

例文2:誤記・不整合があるとき(メール添付で受け付けている場合)

件名:ご提出書類の記載内容の確認と差し替えのお願い(受付番号:A-1024)

株式会社△△
経理ご担当 鈴木様

いつもお世話になっております。〇〇株式会社の佐藤です。
先日は取引先登録書類をお送りいただき、ありがとうございました。

確認しましたところ、以下の点が他の書類と一致しておりませんでした。修正のうえ、差し替えをお願いできますでしょうか。

  1. 取引先登録票「所在地」欄:番地が「2-3-4」となっていますが、ご提出いただいた登記事項の写しでは「2-3-5」となっております。正しい所在地にそろえてご記入ください。
  2. 取引先登録票「振込先口座名義」欄:カナ表記で法人格が省略されているようです。通帳などに記載されている名義どおりにご記入ください。

修正後の取引先登録票をPDFにして、本メールへのご返信でお送りください。その他の書類は差し替え不要です。

次回のお支払い処理に間に合わせるため、10月16日(金)までにお送りいただけますと幸いです。
万一こちらの読み違いでしたら、その旨お知らせください。

お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

不整合の場合、受け取った側ではどちらが正しいか断定できないこともあります。「こちらの読み違いでしたらお知らせください」と一言添えておくと、相手が指摘しやすくなり、正しい内容を誤って書き換えてしまうことも防げます。

責める印象を避ける言い回し

不備は、事実を淡々と書けば十分に伝わります。相手の注意不足を示すような表現は避けます。

避けたい表現 言い換えの例
記入ミスがありました ご記入内容に一部確認が必要な点がございました
添付されていませんでした。ご確認ください 同封を確認できませんでした
正しく記入してください 〇〇の形式でご記入ください
至急再提出してください 〇月〇日までにご提出いただけますでしょうか
前にもお伝えしましたが 念のため、記入要領の該当箇所をお送りします

とはいえ、遠回しにしすぎて「再提出が必要」という結論が伝わらないのは逆効果です。冒頭で「以下の点についてご対応をお願いしたく」と結論を書き、あとは具体的な箇所と方法を示します。こうすると、丁寧さと分かりやすさを両立しやすくなります。

記入要領や記入例がある場合は、該当ページを添付するか、どこに載っているかを示します。「記入例をご覧ください」だけで終わらせず、「記入要領の3ページ目に記入例がございます」まで書くと親切です。

期限と方法を決めるときの考え方

  • 期限には理由を添える:手続きの締切や処理日に合わせている場合はそう書きます。相手が優先度を判断しやすくなります。
  • 「必着」か「発送」かを明記する:郵送の場合、どちらの意味かで数日ずれます。
  • 方法は1つに絞るか、選べることをはっきり書く:「郵送またはメール」とする場合は、それぞれの宛先を書きます。
  • 訂正の方法を指定するなら具体的に書く:書き直しが必要か、訂正だけで受け付けるかは、書類の性質や社内ルールによって異なります。自社で決まっている方法を書き、迷う場合は担当部署に確認してから連絡します。
  • 間に合わない場合の連絡方法を書いておく:「期限までのご提出が難しい場合は、事前にご連絡ください」と添えておくと、連絡のないまま期限が過ぎることを減らせます。

送信前のチェックリスト

  • 書類全体を見直し、不備をすべて洗い出した
  • 不備ごとに「どこ・何が・どう直す」を書いた
  • 欄の名前を書類の表記どおりに書いた
  • 再提出が必要なもの・不要なものを分けて書いた
  • 再提出の方法と宛先を書いた
  • 期限と、「必着」か「発送」かを書いた
  • 最初に受け取った書類の扱いを書いた
  • 相手の個人情報を本文に書き写していない
  • 問い合わせ先を書いた
  • 宛先・敬称・会社名が正しい

再提出のお願いは、具体的に書くほど1回で終わりやすくなります。メールに書いた不備の一覧は、再提出された書類を確認するときのチェックリストとしてもそのまま使えます。

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