AIの回答を事実確認するときは、文章全体を「なんとなく正しそう」と読むのではなく、正誤を確かめられる主張に分けて1つずつ確認します。
この記事では、AIのもっともらしい誤情報をそのまま使わないために、「主張を抜き出す → 一次情報と照合する → 確認できないものは保留する」という作業の順番と、確認のポイントを整理します。
先に結論
AIの回答は「全体として正しそうか」ではなく、「一文ずつの主張に裏付けがあるか」で判断します。出典で確認できない主張は、もっともらしくても使わずに止めます。「分からない」を保留として残しておくことが、誤情報を外に出さないいちばん確実な方法です。
手順
- 主張を抜き出す:AIの回答から、日付・数値・制度名・固有名詞・製品の仕様・料金など、正誤を確かめられる部分を1行に1つずつ書き出します。「一般的に〜と言われています」のようなぼかした表現も、事実として使うなら確認の対象にします。
- 一次情報を探す:公式サイト、制度を所管する機関の資料、製品の公式ドキュメントや料金ページ、論文の原典など、発信元に近い資料を探します。AIが出典URLを示している場合は、実際に開いてページが存在するか、内容が合っているかを確かめます。
- 照合する:資料の該当箇所を読み、数値・条件・対象範囲が主張と一致しているかを見ます。特に日付、対象の国や地域、対象プラン、版(バージョン)の違いに注意します。
- 一次情報が見つからない場合:複数の信頼できる二次情報で補助的に確認します。その際、二次情報どうしが同じ出所の引き写しになっていないかも見ます。
- 判定して処理する:確認できた主張は残し、食い違いがあれば資料に合わせて修正します。確認できなかった主張は、削除する・「未確認」と分かる表現に弱める・保留にして公開や送付を止める、のいずれかにします。
- 記録する:確認に使った資料と確認日を、下の記録表に残します。
事実確認の記録表(記入例)
| No. | 主張(AIの回答から抜粋) | 種類 | 確認した資料 | 照合結果 | 処理 | 確認日 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | この機能は無料プランで使える | 料金・仕様 | 公式の料金ページ | 現行の無料プランに記載なし | 削除 | 2026-09-28 |
| 2 | 2023年に提供開始 | 日付 | 公式のお知らせ | 一致 | 残す | 2026-09-28 |
| 3 | 導入企業は1万社以上 | 数値 | 該当する資料が見つからない | 未確認 | 保留 | 2026-09-28 |
記録表の判定は次の基準で行います。
- 照合結果が「一致」の主張だけを、そのまま使ってよいものとする
- 「不一致」の主張は資料に合わせて直し、直した後の文も記録する
- 「未確認」が1つでも残っている場合は、その主張を含む文を公開・送付しない(削除・弱める・保留のいずれかを選ぶ)
実務での確認チェック
- [ ] 現在の情報か(旧版や過去の料金・制度の話ではないか)
- [ ] 別の国・別の製品・別のプランの話が混ざっていないか
- [ ] 引用元が実際にその主張を支えているか(URLが存在し、該当箇所に書かれているか)
- [ ] 推測を事実として書いていないか
- [ ] 確認できなかった主張が文章に残っていないか
具体例
「この機能は無料プランで使える」という文は、公式の料金ページで現行プランの内容を確認できなければ断定しません。確認できない場合は削除するか、「プランによって利用できる機能が異なるため、公式の料金ページで確認してください」のように、読者自身に確認を促す表現へ変えます。
よくある失敗
- AIが示した出典URLを開かずに、「出典があるから正しい」と判断する(URLが存在しない、または内容が主張と一致しないことがあります)
- 同じAIに「この回答は正しいですか」と聞いただけで、確認したことにする
- 数値は確認したが、対象の年・地域・条件までは確認していない
- 確認できなかった部分を、自分の推測で埋めて断定する
このページでは扱わないこと
誤字脱字や言い回しを整える文章校正は扱いません。このページでは、書かれている内容が事実として正しいかどうかの確認に絞っています。
関連ページ
- AIに渡す前に個人情報・機密情報を減らすチェックリスト
参考
- デジタル庁・経済産業省によるAIのリスク管理に関する資料
確認日: 2026-09-28
