AIへ文章や表を渡す前に、必要のない個人情報・機密情報を減らす工程を入れておくと、誰が作業しても同じ基準で安全に扱いやすくなります。
この記事では、「目的に必要な情報だけを残す」「残す情報は伏せるか仮の値に置き換える」ための作業の順番と、AIに渡す直前に使うチェックリストを整理します。
先に結論
AIに渡す前に、まず「この作業に本当に必要な情報は何か」を決め、それ以外は削除します。残す必要がある情報は仮名や仮IDに置き換え、原本とは別のファイルで作業します。本文だけでなく、ファイル名・コメント・別シートなど見落としやすい場所も必ず確認します。
手順
- 目的を一文で書く:例「問い合わせへの返信文のトーンを整える」。この目的に必要な項目だけを残す対象にします。
- 作業用のコピーを作る:原本を複製し、以降の作業はコピーで行います。原本には手を加えません。
- 不要な識別子を削除する:氏名、メールアドレス、電話番号、住所、顧客番号・会員番号、生年月日など、目的に関係ないものは消します。
- 残す情報は仮の値に置き換える:「山田太郎様」→「Aさん」、「顧客番号 123456」→「顧客001」のように置き換えます。元の値との対応表は別ファイルで保管し、AIには渡しません。
- 見落としやすい場所を確認する:下のチェックリストで、ファイル名・非表示部分・コメントなどを確認します。WordやExcelでは、「ドキュメント検査」機能でコメントや作成者情報などをまとめて確認できる場合があります。
- 元の情報は人が戻す:AIの出力に実名などを戻す必要がある場合は、AIを使わずに人が最後に差し替えます。
置き換えの例
| 元の情報 | 置き換え後 |
|---|---|
| 山田太郎様 | Aさん |
| yamada@example.com | 削除(必要なら customer-a@example.com などの架空の値) |
| 090-1234-5678 | 削除 |
| 東京都○○区△△1-2-3 | 東京都内(地域が必要な場合のみ) |
| 顧客番号 123456 | 顧客001 |
| 株式会社○○との契約金額 1,250万円 | 取引先X社との契約(金額は伏せる) |
AIに渡す前のチェックリスト
個人を特定できる情報
- [ ] 氏名(本文だけでなく、宛名・署名・CC欄も含む)
- [ ] メールアドレス・電話番号・住所
- [ ] 顧客番号・会員番号・注文番号など、社内で個人をたどれる番号
- [ ] 生年月日、または年齢と勤務先の組み合わせなど、組み合わせると個人が分かる情報
- [ ] 自由記述欄・備考欄・問い合わせ本文の中に書かれた個人情報
- [ ] 顔写真や、氏名が写り込んだ画像・スクリーンショット
機密情報
- [ ] 取引先名・契約金額・見積額・単価
- [ ] 未発表の製品・計画・人事に関する情報
- [ ] ID・パスワード・APIキー・社内システムのURLなどの認証情報
- [ ] 社外秘・取扱注意と指定された資料の本文
見落としやすい場所
- [ ] ファイル名に氏名や取引先名が入っていない
- [ ] Excelの別シート、非表示の行・列・シートに情報が残っていない
- [ ] コメント・メモ・変更履歴が残っていない
- [ ] ファイルのプロパティ(作成者名など)に個人名が入っていない
- [ ] メールを貼り付ける場合、署名・引用部分・転送履歴を消している
最終確認
- [ ] 削除しても目的を達成できる情報が残っていない
- [ ] 置き換えの対応表を、AIに渡すファイルに含めていない
- [ ] 原本と作業用のコピーを取り違えていない
- [ ] 社内のAI利用ルールで入力が禁止されている情報に当たらない
具体例
返信文のトーン確認だけなら、実名や電話番号を渡す必要はありません。問い合わせ本文のうち内容の理解に必要な部分だけを残し、名前は「Aさん」に、注文番号は削除します。
よくある失敗
- 本文は伏せたが、ファイル名や署名欄に氏名が残っている
- 表の見えている列だけを消し、非表示の列や別シートに個人情報が残っている
- 置き換えの対応表を同じファイルに入れたまま、AIに渡してしまう
- 「社内の情報だから大丈夫」と考え、社内のAI利用ルールを確認しない
このページでは扱わないこと
AIが出力した内容を人がどう確認するかという、レビュー全般の手順は扱いません。このページでは、AIへ入力する前に情報を減らす作業に絞っています。
関連ページ
- AIの回答を事実確認するときの手順|分からないときに止める
参考
- デジタル庁 生成AIに関するガイドライン(2.0)
- 経済産業省 AI事業者ガイドライン(第1.2版)
確認日: 2026-09-28
