チェックリストを作ったのに確認漏れが減らない場合、多くは次のどれかが原因です。
- 手順書の内容がそのまま入っていて、長すぎて読み飛ばされる
- 「正しいか確認」のように、何を見ればOKなのかが書かれていない
- 見るタイミングが作業の流れと合っておらず、気づいたときにはもう送った後になっている
この記事では、どの業務にも使えるチェックリストの作り方を、手順書との分け方、項目の書き方、確認する時点の分け方、使いながらの見直し方の順に説明します。
手順書とチェックリストは役割が違う
| 手順書 | チェックリスト | |
|---|---|---|
| 答える問い | どうやるか | できているか |
| 使う場面 | 作業しながら読む。慣れていない人ほど使う | 作業の区切りで使う。慣れた人も使う |
| 書く内容 | 操作の順番、画面、判断の分かれ道 | 結果として確認できる状態 |
| 1行の中身 | 1つの操作 | 1つの判定 |
| 長さ | 業務全体をカバーするので長くてもよい | 漏れやすい点に絞って短くする |
例えば請求書作成の場合、手順書には「請求書テンプレートを開き、取引先名を選ぶ」と書きます。チェックリストには「請求書の取引先名が、発注書の名称と一致している」と書きます。
手順書の各行にチェック欄を付けただけのものは、長くなって形だけのチェックになりがちです。手順書は手順書として残し、チェックリストは「間違えやすく、間違えると困る点」の確認に絞ります。
作り方の流れ
- 対象の業務と、防ぎたいことを決める
- 防ぎたいことの材料を集める
- 確認する時点で分ける
- 1行1判定で項目を書く
- 絞り込んで、確認する順に並べる
- 実際に使ってみて直す
防ぎたいことの材料を集める
頭の中で項目を考えるより、実際に起きたことから拾うほうが、役に立つ項目になります。
- 過去に起きたミスや、差し戻された内容
- 相手からよく来る問い合わせや指摘
- 新しく担当した人がつまずいた点
- 起きると影響が大きいこと(送り先、金額、個人情報、公開範囲など)
集めたものの中から、「漏れやすい」か「漏れると影響が大きい」ものを項目の候補にします。
項目は1行1判定で書く
1行1判定とは、1つの行を見て「はい」か「いいえ」で答えられる書き方です。次の5つを守ると、誰が見ても同じ判定になりやすくなります。
- 1行で確認する対象は1つだけにする
- 「〜になっている」「〜がある」のように、確認できる状態で書く
- 何と比べて正しいとするのか(比較元)を書く
- 条件付きの項目は、条件を先頭に書く
- 心構えは項目にしない
| 判定しにくい書き方 | 1行1判定の書き方 |
|---|---|
| 宛先と添付を確認する | 宛先が、依頼メールの差出人と一致している(1行目)/添付ファイルが、本文に書いたファイル名と一致している(2行目) |
| 金額は正しいか | 請求金額が、見積書の合計金額と一致している |
| ファイル名は適切か | ファイル名が「日付_取引先名_書類名」の形になっている |
| 必要に応じて上長確認 | 金額が10万円以上の場合、上長の承認記録がある |
| 誤字脱字がないか注意する | 宛名の会社名と氏名が、署名欄の表記と一致している |
| 丁寧に確認する | (項目にしない) |
「誤字脱字がない」のように範囲が広い項目は、判定がばらつきます。間違えると特に困る箇所(宛名、金額、日付など)に範囲を絞って書きます。
確認する時点ごとに分ける
1枚のリストに全部を並べるより、使う時点ごとにまとめるほうが、1回に見る項目が少なくなります。また、送信や提出のような「後から戻せない操作」の直前に、必要な確認を置けます。
| 時点 | 確認する内容の例 |
|---|---|
| 始める前 | 依頼内容・期限・使う元データが最新版であること |
| 作業を終えたとき | 件数・合計・計算結果が元データと合っていること |
| 送る・渡す前 | 宛先・添付・版・公開範囲 |
| 終わった後 | 保存場所・記録・関係者への連絡 |
それぞれのまとまりの見出しに「いつ使うか」を書いておくと、使う人がタイミングを迷いません。
チェック欄は「済」「該当なし」「未」を分ける
チェック欄が空欄と「✓」だけだと、「該当しないので空欄」なのか「まだ見ていない」のかが区別できません。結果は3つに分けます。
- 済:確認して、問題がなかった
- 該当なし:今回の作業には関係しない
- 未:まだ確認していない、または問題があって止めている
複数の人で使う場合や、後から確認した記録が必要な業務では、確認日と確認者の欄も付けます。例外として扱った理由を残せるよう、備考欄もあると便利です。
| No. | 時点 | 確認項目 | 結果 | 確認日 | 確認者 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 送る前 | 宛先が、依頼メールの差出人と一致している | 済 | |||
| 2 | 送る前 | 添付ファイルが、本文に書いたファイル名と一致している | 済 | |||
| 3 | 送る前 | 金額が10万円以上の場合、上長の承認記録がある | 該当なし | 金額が10万円未満 |
紙・Excel・タスク管理ツールのどれを使うかは、業務を行う場所で決めます。Excelで作る場合は、結果の欄をプルダウンにしておくと表記がそろい、「未」の件数も数えやすくなります。
項目を絞り、確認する順に並べる
チェックリストは、長くなるほど読まれなくなります。次のような項目は、外すか別の場所へ移します。
- 操作の説明になっている項目:手順書に移す
- 判定できない心構え:項目から外す
- 担当者がはっきりしない項目:誰が確認するかを決めてから載せる
1つの時点の項目が多くなりすぎたら、時点をさらに分けるか、業務そのものを分けて別のリストにします。
並び順は、実際に確認する順番にそろえます。書類なら上から下へ、画面なら操作する順にすると、行ったり来たりせずに確認できます。
使いながら見直す
チェックリストは、最初から完成形にはなりません。使い始めてから直す前提で作ります。
ミスが起きたときの見直し
| 状況 | 見直す点 |
|---|---|
| そのミスに当たる項目がなかった | 項目を追加する |
| 項目はあったのに「済」になっていた | 判定基準があいまいでないかを見る。比較元が書かれているか確かめ、書き直す |
| 項目はあったが確認されていなかった | 使う時点が作業の流れと合っているか、項目が多すぎないかを見る |
「項目があったのに漏れた」ときに、同じ内容の項目をもう1つ足しても効果はありません。書き方か、使うタイミングを直します。
定期的な見直し
- 毎回「該当なし」になる項目は、本当に必要か、条件付きの書き方にできないかを考える
- システムや書類の様式、取引先の変更があったら、関係する項目を直す
- 追加した項目と削った項目は、理由と一緒に記録しておく
版を管理する
リストの末尾に「更新日・変更内容・変更した人」の欄を設けます。保存場所は1か所に決め、古いチェックリストが手元に残って使われ続けないようにします。
作ったチェックリストの確認項目
- 手順の説明ではなく、確認する状態が書かれている
- どの行も「はい」か「いいえ」で答えられる
- 比較元(何と一致していればOKか)が書かれている
- 条件付きの項目は、条件が先頭にある
- 使う時点ごとにまとまっていて、見出しに「いつ使うか」がある
- 結果を「済」「該当なし」「未」で分けて記録できる
- 更新日と変更内容を残す欄がある
